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アスナ「なんであんた達はあの日――空が割れた日に、この街を守ってくれなかったの?」
オリト、真面目な表情になる。
オリト「……なるほど、そういうわけか」
オリト、頭をさげる。
オリト「すまない!」
アスナ、驚く。
オリト「空が割れた日キミの大切な人を守れなかったのは確かに俺たちの力不足だった。しょうがないなんて言葉で片付けるつもりはない。だが許してくれとも思わない」
オリト、頭をあげてアスナを見つめながら近づき、肩をつかむ。
アスナ「えッ!?」
アスナ、頬を赤らめる。
オリト「俺たちは空が割れた日に全力を尽くした。そしてこれからも全力で戦う。人類のためとかの大義名分じゃなくて、ただ単に生きて明日うまい飯を食ったり、笑ったりするためにだ――だから、キミも変な気は起こすな!」
アスナ「――はあっ?」
アスナ、呆れてきょとんとした顔になる。
オリト「キミは死ぬにはまだ若すぎる! まだまだやってないことがあるだろ?」
アスナ「あのさ……」
オリト「彼氏でも作って遊んでみたらどうだ? もしあれなら俺が付き合ってあげても――」
アスナ「ああ、もうッ! なんなのッ!!」
アスナ、オリトを突き飛ばす。
オリト、後ろに押されて頭をかく。
オリト「おっと――なにってキミは思い詰めて死のうとしてるんじゃないのか?」
アスナ「違うわよッ!」
オリト「え……マジで?」
アスナ「マジです。本気と書いてマジです」
オリト「アハハハっ」
アスナ「サイクスってホントに嫌い」
オリト「いやー、ただでさえ嫌われてる俺らだけど、またアンチを増やしてしまった」
アスナ「どうせ、あんたもお父さんと同じで今日がどんな日か忘れてるんでしょ……」
オリト「覚えてるさ」
オリト、左腕を右手で握りしめる。
オリト「忘れるはずがない。3年前の今日が空の割れた日だ」
アスナ、左腕を見る。それが本物の腕ではなく義腕であることに気付く。
アスナ、目を逸らして、
アスナ「……今日はもう帰る」
オリト「なんだ、急に大人しくなったな」
アスナ「うっさい」
オリト「嫌われちゃったみたいだな――まあ、いいや。駅まで行くんだろ? よかったら送っていくけど?」
アスナ「結構です」
オリト「遠慮しなくてもいいんだぜ?」
アスナ「いいって言ってるでしょ!」
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