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コチコチコチ
時計の針の音が耳に住み着いてるよう。目を閉じると、青とピンクが私を掴んで離さないから、ずっと部屋を眺めていた。
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『のん、この部屋の中に俺以外の男は絶対入れんなよ。……陸も駄目だからな』
海が後ろから抱き締めて言ったの。
『……お父さんも?』
ちょっとイジワルに言った私。
『……バカめ』
海は耳元で言った。そのまま耳朶を遊ばれる。
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幸せな時を思い出して、フフッて笑った。
部屋のあちこちに海が居る。
いつも笑顔の私達が幸せそうに部屋で過ごしている。その過去を部屋に描いた。フフッて笑いながら、朝方近くまで、コチコチコチの音と一緒に過去を旅した。
今の私の笑顔は、あの頃の笑顔のままだろうか?
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