11:凛として

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「本や雑誌から色々吸収した。まあ、広く浅くだけどさ。んで、会社の面接ん時にさ、それが役立った。……あの知識がなきゃさ、俺たぶん採用されなかったと思う」  そういえば、陸は面接の後笑顔で出てきてたっけ。前日面接だった海は意気消沈だった。私は、陸と同じ日で、陸が笑顔で出てきたことで、肩の力が抜けて落ち着いて面接に挑めた。 「何が役立ったの?」 「ステテコ」 「はっ?」  想像もしない言葉に、私は口をあんぐり開けた。  陸が笑い出す。 「のん、口閉じろ」  陸の指が私の上下の唇を密着させた。させただけじゃなく、クイッと摘ままれて、あひる口。 「ぅう」  喋れなくて、睨む。  ぱっと指が離れた。 「もおっ! 陸、指見せてよ、ファンデと口紅着いたんじゃないの?」  陸の指を掴んで確認。ティッシュを出して拭く。 .
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