11:凛として

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「おいおい普通自分の顔、先に確認しねえか?」  陸の手が離れて、それからまた……  そっと顎に触れる。本当に軽く。そして本当に少しだけ上がる。陸が私を見ている。 「駅でトイレ寄ってくか」  そっと手が離れる。 「ぅん」  駅に着いてた。……あれ? 私、……ベンチだ。そう、あの場所が苦しくて、  なのに、いつの間にか駅だ。  どこからそうなったっけ? 「のん? 行かねえの?」  陸がトイレを指す。 「あ、うん、行ってくる。……陸も指洗った方がいいよ」  お互いにトイレに入っていく。 「あ、ちょっと……」  少しだけ、化粧が崩れていた。ポーチからファンデと口紅を出す。  鏡に映った私と、紫陽花?  鏡の横に紫陽花が飾ってあった。 .
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