11:凛として

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 そっか。  こういうことなんだ。  私は今揺るぎなくここに立っていられる。  おかしい表現かもしれないけど、後ろめたい気持ちはない。  だって、私は陸に逃げなかったもの。寄りかからず戦っているもの。正々堂々と胸を張れるもの。  先輩の言葉をまた思い出す。 『戦うのは自分の弱さよ。自分の弱さと対峙しなさい。簡単に寄りかかる女にはなっちゃダメよ』  込み上げる熱いもの。私はもう一度海を見る。未だに陸を睨んでいる海を。  魔女は、一生懸命海に話しかけていた。……可哀想にまったく相手にされていない。  海をしっかり見て、また声を出さずに伝えた。 『海! 越えて』  と。  海が困惑している。陸は隣で『プッ』と笑った。 「のん、なんて言ったんだ?」  そう、私達は後ろめたくなく、堂々と会話できる。 「フフッ、応援したのよ」 .
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