11:凛として

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「ちょっと! 私の課長に何、手を出してるのよ!」  ……ええ、この声は先輩です。 「ちょぉーっと待ったー! お、俺だって課長に……」  って、おーい?  主任まで。  笑いがさらに起こる。 「いやー、参った参った。僕は皆を平等に愛しているよ。だが、ごめんよ。妻が一番なんだ」  課長が、大袈裟に言い放つ。 「皆、失恋なのね……」  先輩もまた大袈裟に"シクシク"と演じる。そして、おもむろに課長に妖しげな笑みを送りながら言った。 「傷心の私達の心は満たされないけれど、お腹はいつだって満たせますわ、課長。皆に平等の愛を……」  先輩、目的はそれですか? 「仕方ない。甘い愛を贈るよ」  課長はなぜかすでに席についていて、アンニュイなポーズで言った。 「便利屋スイーツを」  ニ千円を主任が受け取る。課長、渋いです。ニ千円札とは!  って、便利屋スイーツって…… .
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