12:一人の時間

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 毎日、海の物を消化していく。  週末には部屋はガラッと変わっていた。模様替えも兼ねての消化だったから。 「フフッ、なんだろ……清々しい? 違うなあ。うーん、元に戻った?」  声に出してはみたものの、しっくりくる言葉は出てこない。  強いて言うなら、高校三年の前の私に戻ったのかもしれないな。  私の部屋は私だけの部屋。  うん! やっぱり『私の城』か!  部屋の角に置かれた段ボールニ箱。海の物が入っている。  小さく胸が疼く。  息が少し乱れる。  深呼吸。スーハースーハー……  落ち着いていく。ソファベッドにポスンと座る。枕横のタオルを掴む。 「陸、私越えてるよ。一歩ずつだけど、ちゃんとテッペン行くよ」  ……  テッペンってどこだろ?  テッペンって……  私はゴロンと横になる。 「テッペンって、たどり着いたらわかるのかな?」 .
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