12:一人の時間

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 並べられた浴衣の一枚を手に取る。 「これがいいです」 「あ、私もそちらがお似合いになると思っていたんです」  嬉しそうに、新人さんが言う。 「フフッ、こういうときって第一印象ですもんね」  新人さんと笑い合う。 「では、帯ですがこの中からになります」  10色の無地の帯が並ぶ。 「浴衣の色めの中の色を選ぶと良いですよ」  というと、これかな。手を触れると、新人さんはうんうんと頷く。 「では、こちらへ」  フフフン。  デパートの中をブラブラ。浴衣を着て。  せっかくだから、六階に留まらず一階に下りる。  日傘エリアへ。  ……あれ?  なーんか、なーんか、あの後ろ姿は、あのショートカットは先輩? .
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