160人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい、私もそう感じてるけど、しっくりくる言葉が……出てこなくて」
「一人の時間は当たり前にあるものだよ。当たり前を当たり前に過ごす。違う?」
バーテンさん、流石だ。
「そうね、久しぶりの当たり前を満喫しなさい」
「はい! では当たり前を満喫してきます」
そう言って、二人と分かれた。
日傘は雨天兼用のものを買った。
白地に、薄く六つの撫子柄。浴衣と同じ柄。
私が選んだ浴衣は、古典的な撫子柄。淡いクリーム色の生地に爽やかな緑の流線。散りばめられた、落ち着いた色合いの撫子。
同じように、日傘も選んだの。
六階に戻る。
「お帰りなさいませ」
担当の方が気づいてくれて、声をかけてくれた。
「はい、ただいまです。えっと、レシートですよね」
買い物レシートを見せる。
「日傘ですか?」
「ええ、フフッ、浴衣と同じ撫子柄が入っている日傘です」
.
最初のコメントを投稿しよう!