12:一人の時間

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 嬉しくて、周りを確かめてから開いて見せた。 「まあ! 素敵でございます」 「あの、浴衣も気に入ったので、買って帰りたいんだけど、私、着付け出来ないんですよね」  そう、とても浴衣は気に入ったけど、着付けが出来ないんじゃ、意味がない。 「着付け教室はいかがでございますか?」  担当の方が手書きのチラシを持ってきた。 「浴衣オンリーの着付け教室が、この7~8月にこのフロアの一角で開催されております」  浴衣オンリーなら、いいかも。 「日時はこちらに記載されております。好きな日時3回までで浴衣の着付けを、教えてもらえます」  3回なら、なんとか旅行に間に合うかな? でも費用がなあ。 「えっと、費用というか、あと小物? とか……」  ゴニョゴニョと、言葉が濁る。 「ご実家にお住まいですか?」  はい? 「ご実家に浴衣の小物はありませんか?」  あ! そっか。 .
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