13:隠れていた当たり前

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「なあに?」  台所を覗く。 「餃子よ。手伝って」  ……相変わらず凄い量だ。父さんもさとにいもよく食べるからなあ。 「父さんとさとにいは?」 「打ちっぱなしよ。もうそろそろ帰ってくるんじゃない?」  ゴルフの打ちっぱなしに二人で早朝から行っているそうだ。  さとにいのゴルフデビューが近いらしい。母さんはのんびりながらも、話が途切れることはない。 「ゴルフって、時間もお金をかかるでしょ。だから、ずーっと断ってたらしいんだけど、聡史ももうそれなりの歳だから……断れなくなったのね。フフッ、焦って練習しだしたのよ」  まあ、そうだろうなあ。課長も今週ゴルフって言ってたっけ。接待には欠かせないもんな。 「さとにいも大変だね」 「あら、のりちゃんだってそうでしょ? 会社ってそういうもんよ」  やっぱり母さんだ。 「もしかして、五月病?」 「プッ、違う。期待外れでごめんね」  先輩との会話を思い出して笑ってしまった。 .
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