13:隠れていた当たり前

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「ただいま」  玄関が開くと同時に父さんの声が聞こえてきた。  母さんはやっぱりのんびりと、手のひらの餃子を包み終えて、水道で手を洗ってから台所を出ていった。 「あなた、昼は餃子よ。久しぶりにのりちゃんと一緒で、四人で食べるわね。フフッ」  玄関から聞こえてくる母さんにのんびりした声。  バタバタ、パタパタが近寄ってくる。 「のりこ、おかえり。俺の餃子は30よけとけよ」  いつもと変わらない父さん。 「はーい、羽根焼き楽しみ」  餃子の日は、父さんの出番がある。父さんが30個だけ、羽根つきで餃子を焼いてくれるのだ。  華原家の伝統なのだ。 「あれ? さとにいは?」 「俺に負けたから、車庫入れと荷物頼んだ。そろそろ来るだろ」  ガラガラ  うん、来たみたい。 「重てえ!」  玄関でドッサっと音がする。 「Maxクラブが入ったゴルフバッグだから、そりゃ重たいさ」  父さんは愉快そうに言った。 .
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