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「ただいま」
玄関が開くと同時に父さんの声が聞こえてきた。
母さんはやっぱりのんびりと、手のひらの餃子を包み終えて、水道で手を洗ってから台所を出ていった。
「あなた、昼は餃子よ。久しぶりにのりちゃんと一緒で、四人で食べるわね。フフッ」
玄関から聞こえてくる母さんにのんびりした声。
バタバタ、パタパタが近寄ってくる。
「のりこ、おかえり。俺の餃子は30よけとけよ」
いつもと変わらない父さん。
「はーい、羽根焼き楽しみ」
餃子の日は、父さんの出番がある。父さんが30個だけ、羽根つきで餃子を焼いてくれるのだ。
華原家の伝統なのだ。
「あれ? さとにいは?」
「俺に負けたから、車庫入れと荷物頼んだ。そろそろ来るだろ」
ガラガラ
うん、来たみたい。
「重てえ!」
玄関でドッサっと音がする。
「Maxクラブが入ったゴルフバッグだから、そりゃ重たいさ」
父さんは愉快そうに言った。
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