13:隠れていた当たり前

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「上がったぞ」  バタバタと父さんの足音。茶の間に入っていった。 「よっしゃ、終了。じゃ、俺もシャワーしてくる。腹減ってるから餃子焼いといて」 「まだ10:30だよ?」 「うん、俺まだ成長期だから」  いやいや、何その返し。だけど、相変わらずのさとにいで、やっぱり笑ってしまう。 「母さんに言っとく」  クラブを戻して、台所に戻る。 「母さん、さとにい上がったらすぐ食べたいって」  洗い物をしている母さんの背中に言った。 「もう……まったく、わかったわ。のりちゃんは小物を風呂敷に包んでね。それから出してるカバンに入れて持って帰ってね」  風呂敷? 普通に紙袋に入れて持って帰ったらいいじゃん。 「いいよ、面倒だもん。紙袋に入れて持って帰るよ」  洗い物が終わった母さんは振り返って言った。 「のりちゃんもまだまだね。紙袋だと、雨が降ったときどうするの? それに、風呂敷に包まないと丸見えよ」  あ……そっか。 .
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