13:隠れていた当たり前

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「聡史もゴルフにチャレンジするし、のりちゃんも浴衣にチャレンジするし、あなた嬉しいわね」  父さんが笑う。母さんにつられて。 「ん? のりこ浴衣自分で着られんの?」  さとにいが訊く。 「ううん、だから着付け習うの。浴衣だけだけどね」 「あー、なるほど。やっと理解」  そっか、着付けてもらうって父さんもさとにいも思ってたのかな。母さんにしか着付け教室のこと言ってないし。  で、その後は普通に餃子を食べる。  誰もなんで別れたのかとは訊いてこなかった。 「羽根食べたい」  今日の私のはじめての甘えかもしれない。父さんの羽根焼き餃子が食べたくなった。 「おう、待っとけ。よく翔べる羽根を作ってくる」  ありがとう、父さん。 .
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