13:隠れていた当たり前

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 やっぱりまだ苦しい。不安定にはならないけど、過去の私が脳裏に浮かぶ。  今日は何度苦笑しているんだろう。  ガチャ 「のりこ、これ飲め」  さとにいが戻ってきた。出されたそれは、黒ウーロン。 「ありがとん」 「どういたしましてん」  さとにいは、どら焼を買ってきた。運転しながら食べれるからだって。  で、出発してすぐにさとにいは、どら焼を平らげた。 「さてと、のりこ、ちょっと寄り道してかねえか?」 「あ、なんか用事なの? 私、駅に降ろしてくれたらいいよ」 「んにゃ、違う。少し話さねえか?」 「……」  きっと海のことだ。どう答えればいい? どう話せばいい? 「ちょっと遠回りするだけだって。ちょっとした昔話な」 「……わかった」 .
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