13:隠れていた当たり前

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「なあ、のりこ。海はずっとお前の傍にいた。じゃあ、陸はどうだった? お前が転んだり落ちたりした時、陸はどうしてた?」  陸は……? 「覚えてない。何でだろ?」 「正解」  なんで正解? 覚えていなくて正解なの? 「あれ? 私、ちゃんと三人で遊んでたよ。なんで?」  さとにいは車を停めた。 「降りようぜ」  さとにいが連れてきた場所は、郊外の町を見下ろせる高台。 「さとにい、教えて?」 「海は、のりこの傍にいた。陸は、大人を呼びに走った」  ズトンと落ちる。  しっくりしすぎて放心した。  さとにいの声が放たれた心に、直に染み込んでくる。 「陸はいつも俺や母さんを呼びに来てた。俺も母さんも居ないときはさ、隣近所の人。それでも居ねえときは知ってる人を捜して走り回る」  海はずっと私といた。陸は…… 「低学年の子供が、一人でな」  私と海は二人。陸は…… .
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