1:並ぶ傘

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 いつもの場所に向かう。  川沿いのベンチ。  雨だから、人は全くいない。  濡れたベンチに視線を移す。  頭の中では『私は大丈夫』が繰り返される。  雨は小雨過ぎて、傘に音をもたらさない。静かで綺麗過ぎる景色。  だから、私が浮き立つ。  私の内なる部分が、静かで綺麗過ぎる景色とは真逆過ぎるから。  この景色に居てはいけない存在のようで、……私はその場を離れた。  橋の下で踞る。  少し離れた所にさっきのベンチ。 「やっぱり、私が居なくて正解……」  その静かで綺麗過ぎる景色に呟いた。 .
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