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♪♪~
着メロですぐに誰かわかった。
「モーリ!!」
---いちご?大丈夫か?
下に来てる。
インターフォン鳴らしても出ないなんて、
具合悪いのか?
「モーリ!すぐっすぐ行くからっ!」
ベットからとび起きると
転がるように階段を駆け降りた。
玄関のロックを開けると、
心配そうなモーリが立っていて
さっきからずっと待たせていたのがモーリだった
事が申し訳なくてひたすら謝った。
モーリはあたしをぎゅうっと抱きしめて
「ごめん、会議中でメ-ル見てなかった。
遊歩からも電話あった。
怖かっただろう?
大丈夫か?」
「うん。
心配かけてごめん。
あたし思ったより弱虫みたい……」
ジワリとにじんだ涙は、
目の奥のほうでこちんこちんに固まっていたものが、
溶けだして流れて出たようなものらしく、
出始めたら止まらなくて、
モーリのワイシャツを濡らしていった。
「とりあえず夏休みでよかった。
一人で出かけるのは控えた方がいい。
何かあったら俺と行こう。時間作るよ。」
「ううん、大丈夫。
今は気が動転してるだけ、
ごめん。心配させて。
明日にはきっといつものあたしに戻るから。」
「いちご。」
「でも、モーリ
ちょっと落ち着くまで、
お願いしてもいい?」
手に力を込めて、モーリに抱きついて
ハグのおねだりをした。
ぎゅうっ
モ-リが抱きしめてきた。
モーリの車の中でいつも感じるほのかな香りが、
あたしを包んで、
さっきの怖い気持ちを溶かしていく。
良かった。
モーリは怖くない。
「迷惑ばかりかけてごめんね」
今までと違う安堵が
私を落ち着かせてくれる。
「全く、
君はいじらしくて、
可愛くて、
迷惑なわけないじゃないか。
24時間守ってあげられたらいいのに。
そうしてやれない自分がもどかしいよ。」
しばらくそのまま抱きしめられていて
このまま時間が止まってほしいなんて
思ってたら……
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