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これが男だったら『ふざけんなよ。どーしてくれんだよ!』と凄んでいたかもしれないが、相手は女子。
しかも事故とは言え胸の感触まで味あわせてもらった。
「よそ見してた自分も悪いんだ」
俺は自分の非を認め「そっちこそケガは?」と彼女を気遣う。
「あたしは大丈夫です。あのシャツ……」
「洗えば大丈夫だから」
「ごめんなさい。クリーニング代だけでも。あっ、でもお財布持ってなくて……」
「いいですよ。じゃあ……」
急ぐ振りをしてその場から立ち去る後ろで、犬が「ゥオン」と吠えていた。
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