紫陽花

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「よしよし。お待たせ。さあ、行くか」 立ちあがりリードに手を伸ばす。 するとまだリードを握っていた彼女の手をギュッと握ってしまった。 「「あっ」」 お互い同時に声をあげ、俺は彼女の手を、彼女はリードをパッと離した。 そして下に落ちたリードを拾おうと二人同時に身を屈めた。 ゴツンと音がし「「痛っ」」とハモる。 「ご、ごめんっ」 「ご、ごめんなさい」 お互い頭を擦りながら謝り顔をあげ、どちらともなく笑いだす。 そんなコントのような出来事に笑っている俺らに「なに遊んでんの?散歩はまだ?」と言うようにパールが吠えた。
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