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「あー、もう、めんどくせ」
ドルンと小気味良い音を響かせ、1台のバイクがレンガ造りの門をくぐる。
ヘルメットを外した青年は気だるさを隠すことなく、建物の中へと入っていった。
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「…あれ、先生いねえや。講義かな」
青年が開けた、年代を感じさせるドアの向こうに拡がるのは、薄暗い書斎のような研究室。
人の気配はな…
「もらったぁ!」
真横から飛んでくるゴムの弾丸。いや、弾丸というにはでかいテニスボール大のソレは、青年の脇腹を捕らえた。
「ゴフッ!…」
「引っ掛かったわね!薄暗さというツールは気配を隠s…いだっ」
調子づく犯人に容赦ないデコピン。
「むぅ、なによぅノリ悪いわねやっくん」
「痛いのに怒らない方がおかしいわ、それより仕事しろ」
やっくんと呼ばれた青年、耶俥 誠司(やぐるま せいじ)とデコピンを喰らったゴムボール狙撃犯にして部屋の主、影宮 哀奈(かげみや あいな)の他愛ない日常がスタートした。
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