きっともう恋にはならない

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俺は出かけた先で久々に彼女を目にした。 何も変わっていない。直接会ったのは2年ぶりくらいだろうか?小さな背丈も歳の割りに幼い顔も、俺の好きだった柔らかな感じの頬もそのまま。 変わったことと思うことは俺が知る限り今日の彼女が一番綺麗だということ。 それは煌びやかな装飾品の為か?長いストレートのだった髪が今日はしなやかに優美に巻かれているからだろうか?綺麗な透明なシャンパンの入ったグラス越しに見ているからだろうか?それとも何の汚れも知れない純白のドレスのためだろうか? いいや、違う。 彼女が紛れもなく幸せを掴んでいるからだろう。 俺は多くのほかの参加者に紛れて幸せな彼女を見ていた。彼女の隣に居るのは俺の知らない男性。少し俺より大人びていて、悪い言い方をすれば老けているが…、その分こういった大舞台でも落ち着いている。そして柔らかな笑みを浮かべて彼女の心を満たし包んでいた。 今日は彼女と俺の知らない男性の結婚式だ。
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