きっともう恋にはならない

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式は進んでいっても俺の頭の中は納得が出来ずにいた。 なぜ彼女は俺にこのことを告げなかったのか?真っ先に伝えてくれも良かったのに!なぜ今まで悩みを全て打ち明けてくれたのに!! 華やかな式でスポットライトの当たる二人と影の中で拍手をする俺。まさに心の中をそのまま描写しているようだった。『友達』で居た。それ以上の関係にだってなりそうだったのに、光と影の様に一気に対照的な世界に引き離された感じだ。 式は進んでいく、そして二人がゲストと話す時間が来た。式の参加者は俺のようなブラックスーツを来た30~40代の男性、色鮮やかなブランド物ドレスを着る女性、最近の風潮か色つきのシャツを着る同じ歳くらいの男性、スーツ姿の若い女性など色々だ。 そして俺は彼女と話す時が来た。 「久しぶり~~!!」 「久しぶり!!」 《何を…笑っているんだ俺は!!》 俺は自分が彼女に笑顔で受け答えしたことに憤りを感じていた。心と体がばらばらになっていく。片手に持ったグラスが割れそうだ。感情が外に出せず体の中を巡って脳を揺らす。おかしくなりそうだ。 「ごめんね!連絡するの遅くなって!」 「ああ、びっくりしたよ。まさかとは思っていたけど結婚だなんて! どうして言ってくれなかったんだよ!!」 悪ふざけの空気を出しながら何となく心の中の思いを一部を口にした。だが変に声が大きくなったことは、みんな気付いていただろう。 「…だって…
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