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またあなたにまた甘えちゃいそうで。
でも、今度から…これから
『親友』
でいてね。」
彼女は微笑んで俺に言った。俺の大好きな微笑みだ。
「……そうか…。…そうだな…。」
何だろ、俺の中でまどろんでいたものが、塞ぎこんでとどまっていたものが流れ出した。俺は自分の大きな手で顔を隠した。
「ねぇ、どうしたの?」
「なんでもないって!」
俺は顔を彼女から背けた。顔は熱い。多分血が巡って目も顔も真っ赤だろう。色んな感情の蓋が開いてすべてが交じり合っていく。それが笑みとなって、そして頬を流れるしずくとなって表に出てくる。いっぱいだった心の中身は手にあるグラスと同じで透き通って軽い。彼女の望んだ『友達』以上の関係をその穴に自然と受け入れていける。
「また…メールしようね!」
「ああ!!そうだな!」
「ありがとう!!」
俺は大きくうなずいた。彼女の声も大きくなる。純粋に俺の言葉に喜んでいるのが手に取るように分かった。
あの日、メールが来なくなった日から彼女は前に進んでいたのだ。そして彼女は彼女なりに俺との関係を考えていたんだろう。もしかしたら俺のが想いを寄せていることに気付いていたのかもしれない。だから告げなかったのかもしれない。それともそんな深い意味は無かったのかもしれない。その答えは分からない。だけど俺も少し遅れて前に進むことが出来るだろう。彼女に甘えることは無い。彼女のことを想うのは今日が最後の日だ
彼女は俺の『親友』だから!
だから
きっともう恋にはならない。
俺にとっては最高の…別れだ。
今度のメールは『親友』として、彼女の様に幸せを掴んだ時にしようじゃないか。
ゲストは並んでいる。俺は彼女の前から歩いてその場をどいていく。今、俺と彼女はそれぞれの未来に歩み出した。
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