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土と黄ばみで真茶色になっていておそらくはもう動かないだろうが、
このような数十年も人が立ち入っていない場所にあるのは少々意外
で、不意に子供の頃の記憶を思いだし、感動すらしてしまった。
その隣は食堂と台所と思しき部屋だったが、木製の床が完全に痛み
きって色が悪く、所々抜けて穴が空いているので入ることはできな
かったが、家の中に漂うアンモニア臭がそこの流しから来ていたのは
間違いなかった。
二階へ続く階段は足下にこそ石ころや茶碗の破片が散らばっていたも
のの、大した腐食もなく、難なく上がることができた。
二階には二つ部屋があった。
一方の部屋には大きなバッファローの角が壁に掛けられたままになっ
ていて、机には高級そうではあるがペン先の錆びた万年筆が散らばっ
ていて、おそらくは家主の部屋なのだろう。
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