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帰りに遭遇した場合どうやり過ごすか考えながら荒い道を進んでいく
と、途中で道が消えてしまっていた。
もう少し具体的に言えば、それまで曲がりなりにも人が歩く為の平た
い地面が無くなり、それ以降は斜め30度はありそうな傾斜を、身体
を反らせながら落ちないようにして歩かなければならなかった。
一応、木々に麻縄が結びつけられていて、これにしがみついて重力に
逆らって少しずつ進んでいくことになるのだが、これがまた年代物
で、土と雨ですっかり湿気ている上に、所々虫が這っている。
かく言う私もうっかり一匹芋虫を握りつぶしてしまい、後の処理が大
変だった。
それに加えて木々の密度がいよいよ濃くなり、わずかに差し込む日の
光を頼りに進まなければならないほど、周囲が暗い。
そうした道を約1時間かけて進むと、やがて入ってきた時とは逆に、
斜面が徐々にゆるやかな平地となっていき、再び難なく歩行ができる
ようになった。
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