1027人が本棚に入れています
本棚に追加
「鬼、どうなんだ? 夜具徹夜と尾長慎一のふたりにお前は、いじめられてどう感じているんだ?」
「嫌です。痛いし。」
鬼は、本当は笑いをおさえているのだが、笑いが表面に出てしまいそうだったので、腕で顔を押さえ、泣いている真似をした。
(泣き真似しなくちゃあ、みんなのまえで笑っちゃうよ。くくく。)
「先生はな。つい一週間前、朝会のとき、徹夜が鬼を、他の先生たちに気づかれないようになぐっているの見たんだよ。それで、掃除時間、給食時間と細かく観察したよ。徹夜が主に、そして、慎一がそれに便乗するように殴っていたな。無抵抗なやつを、先生にばれないように、ねちっこく。先生は、こういうことがだいっきらいなんだよっ!!」
クラスがシーンとなっていた。女子に至っては怖さのあまり泣いてしまっている者もいる。だが、先生は続けた。
「お前たち、グループの意見覚えているな。さっき、徹夜言ったよな? いじめられている人はいじめた人にやり返すのがお前らグループの意見だよな?」
徹夜もすでに泣いていた。慎一はさっきから泣いているが、泣き止むどころか嗚咽まで漏らしている。
「クラスのみんなは、ここで待機っ! 休み時間になっても先生たちがもどってくるまで、席を離れずこのままいるように! 鬼、徹夜、慎一 ちょっとついてこい。特に徹夜、慎一 さっきみたいにトロトロすんな。わかったかっ!」
夜具徹夜と尾長慎一はうなずき、先生、鬼、徹夜、慎一の四人は教室の外へと出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!