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教室へ入ると、みんなは驚いたように鬼たちをみた。優越感に浸る鬼、いまだに泣き止まない徹夜と慎一。ただ、同じ泣きやないでも徹夜と慎一には大きな違いがある。徹夜はズボンがびしょ濡れで、お漏らしをしている点だ。
クラスのみんなは、哲男先生が怖くて何も言わないが、徹夜がお漏らしをしたことには気付いている。このにおいで気付かないやつがいたらよほど鼻が悪いやつだろう。
「おまえら、もう一度言うぞ。いじめは良くないぞ。先生はいじめがだいっきらいなんだ。他の先生は、どう言うか分からないが、いじめた奴は、いじめられた奴に仕返しを受けるべきだと思っている。当然の報いだ。みんな、分かったな。一度しか言わないぞ。みんな、分かったら大きな声で返事をしろ。みんな、分かったな?」
「はいっ!」
「それと、鬼、徹夜、慎一の件は解決した。解決したことをうじうじと詮索する必要はない。もう、解決したんだから、教室を出てどこに行ったか、何をしていたか、そういうことは聞くんじゃないぞ。分かったら、大きな声で返事をしろ、みんな。」
「はい!」
「よし。それじゃあ、今日は帰りの会はなしだ。特に連絡もないからな。じゃあ、みんな、帰っていいぞ。」
それを聞くと、みんなは嬉しそうに帰っていった。それは、さすが小学生。予想外に帰れることを聞き、すっかり鬼たちメンバーが何をしていたかなど気にすることなく帰っていったのである。先生も鬼たちに、気を付けて帰れよ と一言だけいい、教室から出ていった。
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