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教室に残ったのは鬼、徹夜、慎一の三人。三人は、少しボーとしていた。鬼は、哲男先生の言葉を思い出していた。
(いじめた奴は、いじめられた奴に……)
(そうだ! さっき、徹夜には仕返したけど、慎一にはしていない!!)
そう思うと、鬼はどんどんイライラしていった。ズボンを女子の前で下げられたこと、いきなり後ろから殴られたこと、無理矢理口に葉っぱをつめられたこと、用具入れの暗闇の空間に閉じ込められたこと。いままで、慎一にされた屈辱がおそろしいスピードで脳裏をよぎっていった。勇気を出して、慎一に話しかけた。
「慎一、女子のまえでズボン下げられたらどんな感じなのかな?」
慎一はまだ泣いたままなので、何も答えない。
「ズボン下げられたままで、コイツ、パンツに黄色いのついてるぜ! 漏らしてるぜ!! とか言われたらどんな気持ちかな?」
鬼は続けた。
「慎一、葉っぱってさ、美味しいかな? 無理矢理、口に詰められたらどんな感じするのかな?」
「後ろから急に殴ったりもしたよね?」
慎一は、怪物をみるような目で鬼を見ていた。そのとき、鬼がどのような表情をしていたのかは鬼自身わからない。ただ、額に左右対象にあるしこりが拍車をかけ、慎一には鬼のいまの表情はまさしく、「鬼の形相」であった。そして、鬼は静かに横目でみる慎一の背後にそっと回り込んだ。
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