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鬼「ここまで来たんだからこのボタン押すよ!」
潤平「う、うん。」
鬼はスイッチを押す手が震えた。ほんとは押すのは怖かった。押して爆発したり、毒ガスが出てきたらどうしようと考えていたからだ。
それは、潤平も同じようだった。なかなかスイッチを押せない鬼をじっと見つめている。肌寒いにも関わらず、鬼も潤平も額から汗がしたたりおちる。
(鬼、がんばれ)
心の中で潤平は、エールを送った。本当は自分が押せばいいのだが、その度胸はなかった。だから、鬼がスイッチを押すのを待っているしかなかったのだ。
鬼は一度、深呼吸した。そして、気持ちを落ち着ける。
(ここまで来て、スイッチがあるなんて偶然はない。押せっていう意味なんだ! そしたら、何か道が開けるはずなんだ!)
そう自分に言い聞かせ、鬼はスイッチを押した。
スイッチを押すと、何も起こらなかった。二人とも目を合わせ、拍子抜けした。しかし、その直後、変化は起きた。
まず、地鳴りのように洞窟内が揺れ動く。
鬼「ななな、なんだ?」
潤平「どどど、どうなってるの?」
二人は必死に何かにしがみつく。どんどん地鳴りは大きくなる。そして、すごい
轟音が鳴り響く。その音は後方から、つまり、二人がやってきた方向から鳴り響いていた。
その轟音が鳴りやんであと、今度は二人の前方から轟音が鳴り響き、その音が近づいてくる。
鬼「潤平ふせて!!」
潤平は鬼の言うととおり、地面に這いつくばるように頭を押さえている。
鬼の判断は正しかった。二人がしがみついていた壁が爆発するように、飛び散った。そして、壁の奥から大きな金属の扉が出てきた。
ようやく、揺れがとまり、地面に伏せていた二人は起き上がった。
潤平「イテテ。鬼、大丈夫? 鬼 ?」
鬼はひとあしさきに潤平より早く起き上がって前方を見ていた。潤平は、鬼が見ている先へと視線をうつす。
そこには大きな扉が現れていた。二人は、動揺のあまり会話すらままならない。
二人のあとを追っていた人物は、特に動じることもなく、その様子をみている。
(あーあ。スイッチ押しちゃた。ここまで来たら、ご褒美あげなくちゃ。二人とも頑張ったしね♪)
その人物は、手のひらに収まるサイズのケータイをリモコンがわりにし、その画面の一ヶ所をタッチした。
すると、二人の前にある扉が開き始めた。
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