第1章

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鬼「ここまで来たんだからこのボタン押すよ!」 潤平「う、うん。」 鬼はスイッチを押す手が震えた。ほんとは押すのは怖かった。押して爆発したり、毒ガスが出てきたらどうしようと考えていたからだ。 それは、潤平も同じようだった。なかなかスイッチを押せない鬼をじっと見つめている。肌寒いにも関わらず、鬼も潤平も額から汗がしたたりおちる。 (鬼、がんばれ) 心の中で潤平は、エールを送った。本当は自分が押せばいいのだが、その度胸はなかった。だから、鬼がスイッチを押すのを待っているしかなかったのだ。 鬼は一度、深呼吸した。そして、気持ちを落ち着ける。 (ここまで来て、スイッチがあるなんて偶然はない。押せっていう意味なんだ! そしたら、何か道が開けるはずなんだ!) そう自分に言い聞かせ、鬼はスイッチを押した。 スイッチを押すと、何も起こらなかった。二人とも目を合わせ、拍子抜けした。しかし、その直後、変化は起きた。 まず、地鳴りのように洞窟内が揺れ動く。 鬼「ななな、なんだ?」 潤平「どどど、どうなってるの?」 二人は必死に何かにしがみつく。どんどん地鳴りは大きくなる。そして、すごい 轟音が鳴り響く。その音は後方から、つまり、二人がやってきた方向から鳴り響いていた。 その轟音が鳴りやんであと、今度は二人の前方から轟音が鳴り響き、その音が近づいてくる。 鬼「潤平ふせて!!」 潤平は鬼の言うととおり、地面に這いつくばるように頭を押さえている。 鬼の判断は正しかった。二人がしがみついていた壁が爆発するように、飛び散った。そして、壁の奥から大きな金属の扉が出てきた。 ようやく、揺れがとまり、地面に伏せていた二人は起き上がった。 潤平「イテテ。鬼、大丈夫? 鬼 ?」 鬼はひとあしさきに潤平より早く起き上がって前方を見ていた。潤平は、鬼が見ている先へと視線をうつす。 そこには大きな扉が現れていた。二人は、動揺のあまり会話すらままならない。 二人のあとを追っていた人物は、特に動じることもなく、その様子をみている。 (あーあ。スイッチ押しちゃた。ここまで来たら、ご褒美あげなくちゃ。二人とも頑張ったしね♪) その人物は、手のひらに収まるサイズのケータイをリモコンがわりにし、その画面の一ヶ所をタッチした。 すると、二人の前にある扉が開き始めた。
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