第1章

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トントン。 (誰? こんなときに。) 大五郎は手を払いのける。 トントン。トントン。 (しつこい! いま、入口を見張るのに精一杯なんだよ!!) また、パシッと大五郎はその手を払いのける。 (あれ? お、おかしいよね? 鬼と潤平いないのにさ………) 大五郎は、村の入口をみつけたため、入口の見張りがいなくなる瞬間を見逃さないでおこうと精一杯だった。つい、村の入口がみえ、村から出ることができると思い、油断し、喜んでいる自分がいることに気付いた。 おそるおそる後ろを振り向く大五郎。 そして、ヨウッと言わんばかりに手をあげるまさる。 まさるの手に応じるように、大五郎もヨウッと手をあげ、まさるのようにニンマリしてみた。もちろんひきつったニンマリである。 「このガキャー! ふざけてんじゃねー!!」 まさるは大声をあげると、おもいきり大五郎の左頬を叩いた。そして、すかさず反対側の頬も叩く。 いままでコケにされた恨みをはらすかのようなまさるのビンタは、とても痛かった。いままで、先生や親にも悪さのお仕置きとして、大五郎はビンタをされたことはあるが、こんなに痛いビンタは経験したことがない。 大五郎は、痛さのあまり大声をあげて泣いた。 その声に気づき、村の入口にいたメンバーもそこへ駆け寄る。それに気付いた大五郎は、大声で泣かなければよかったと後悔したが、もう遅かった。 ???「おう、まさる。お前の母ちゃんが言ってたのはコイツだべ?」 まさる「そうだべ。このガキ甘くみないほうがいいぞ。痛い目みるべ。」 ???「おう。全員こっちきたらやばいべ。お前ら二人は村ん入口見張ってろ。」 そう言うと、村の入口の見張り二人は戻っていく。どうやら、いままさると話している人物を含めると、入口の見張りは三人いたようだ。 「平八、このガキの他にも侵入者おるぞ。」 「しっとる。コイツラがこっちに向かっとる連絡はあったばい。」 大五郎は、何が何だかわからなかった。 (村に向かっているのからわかっていたってこと? なんで?) 考えてもわからない。 (も、もしかして鬼か潤平のどっちかがこの謎の村の人たちとつながっているってこと?) 「さて、まさる。このガキ、お前の母ちゃんとこ連れてくぞ。」
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