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「こいつ、ずっとここにあるけど、どうするんだ?」
と、ガニガニ・9・ボーテが訊ねた。
ベランダに置いてあるカラの宝箱のことだった。少し前、隣室の墨野氏を尾行して駅前のビルから入った地下迷宮でルケルケ・7・トーが拾ったものだった。
翌日開けようと思ってベランダにおいていたら、なぜか翌朝には開いており、中身は空っぽだった。それをそのまま放置していた。
「大型不要品の回収があるのが半年に1回なので、それまでそこに置いておくしかないかと……」
ルケルケ・7・トーはこんなものを拾ってきて後悔していた。カラの宝箱だとわかっていれば拾ってなんかいなかったのに。
「半年に1回とは難儀な話だな」
ガニガニ・9・ボーテは頭の後ろに手をやって、カラの箱をしげしげと見る。
「それしても妙だったなぁ……。翌朝勝手に箱が開いていたとは。中になにが入っていたのだろう?」
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