桜色の想い

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 それから数日後。鈴の音が聞こえたかと思うと、コンコンと窓を叩く音が微かにした。隙間を覗くとあの少女。 「あっ……」 「また来ちゃった」 「桜ちゃん?」  僕はあの時に誰かが呼んでいた名前を思い出して、ふいに呟く。 「ん? 名前、教えたっけ?」  桜は、自分の名前の肯定と共に疑問を投げ掛けた。 「前、誰かに呼ばれてたから。よかったらでいいんだけど、苗字、教えてくれる?」 「月ノ宮(ツキノミヤ)。月ノ宮桜だよ。君は? 我の名前だけ知ってるなんて、ずるいぞ」  桜が、ずるいぞと言いながら頬をぷくーっと膨らませるもんだから、僕は思わず笑ってしまった。 「何が可笑しいんだ?」 「ごめんごめん。頬を膨らましてる桜が可愛かったから。あ! 僕は、田島右佐(タシマ ユウサ))だよ」 「可愛くないもん!」  桜は拗ねた振りをする。本当は嬉しいということが、林檎のように紅くなった頬から窺える。そんな桜を微笑ましく思う。

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