第1章

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――戦場。コンクリートと鉄骨の残骸はかつての高層建築物の体をなしていない。敵味方のレーザー射撃に曝されたそれは、熱を帯びた骸の様相。 ――敵機巧の残骸が横たわる側で、一機の人類側の機巧が膝をつき、待機状態を維持している。 ――純白の機体に反して、その脚部(正確には足の甲)は赤い血で汚れているのが際立つ。 息が上がっている結絃。 結絃「敵の増援は?!」 答えるオペレーター。 『三機、そちらに向かっている。簡易補給を受けた後に迎撃にあたれ!』 ――大空。 ――簡易補給を終え、先ほど施された高々度戦用兵装(ジェットパック)の機能で機巧は飛翔する。 ――夕闇と薄い雲を割るほの暗い機巧のシルエット。 「なぁ?」 しびれを切らし、言葉を発する、後部座席の颯。 颯「あれは、人間じゃないか。だったら何故殺した!! まだ若かった、俺達と同じ位の年齢で……」 結絃「敵だから、という答えでは不満か?」 颯「なにも殺すことはなかった……、せめて捕虜にするとかあったじゃないか!! あんな酷い殺し方……」 結絃「敵に情け容赦するようでは、私は守りたいものを守れない、そう考えている」 颯「君が守りたいものってなんだ!! 記憶をほとんど無くして!! 軍に顎で使われて!! それでも守りたいものってなんだよ!?」 結絃「それは……」 颯「答えろ!」
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