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「……芸術、ですものね……」
妙に真剣な力のこもった表情と、その言葉に愕然とした。
「ええと……奏、さん?」
まさか。
まさかとは思うが、それは。
「大丈夫です。私、やります」
眉間にしわを寄せたまま、彼女は無理矢理に笑顔を作った。
くらりとする。
一生見れなくてもいいなんて、心にもない嘘だ。
今彼女は、僕の前で脱いでもいいと言っている。
しかも、それは『いつか』の話ではない。
「わあ……素敵なお家」
洋館を見るなりうっとりとため息を吐いた彼女は、真っ先にアトリエを確認する。
光彩が取れるように、庭に面した窓を拡張してもらったばかりだ。
大きな窓からはこの時間西日が射しこんで、部屋を柔らかな琥珀色に染めていた。
「綺麗……」
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