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「そうか、奏の男が画家だったとはなあ」
会うのはこれが2回目だった。
初めて会った時には直接言葉を交わしたわけではないので、これを初対面と呼んでも良いのかもしれない。
見た目の紳士的な印象を損なわずにこんなに好色な笑いを浮かべられる人間を、僕は初めて見た。
そう言えばあの時も彼女に対して、冗談まじりにセクハラじみたことを言っていたような気がする。
なんだったか……
――『もっと大人の男が欲しくなったら、私のところへおいで』――
そうだ、だからだ。
一言も交わさなかったあの日、ほんの少しだけ、嫌な印象が残ったのは。
確かに彼の方が大人なのだろうけど、奏さんから見たらおじさんだろう。
歳が離れすぎだ。
うん、きっとそうだ。
ただのおじさん。
おじ……
まさか、彼女から見たら僕も、か?
いやいや、歳の差は6、そこまででは……ちょうど良いくらいだろう、うん、そのはず。
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