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噛みつくような勢いで唇を塞いだ。
優しく触れるだけのキスしかしたことがなかったのに。
驚いたのか脅えたのか、彼女は顔を背けて逃げようとする。
その髪に指を差し込んで、後ろ頭を押えつけた。
苦しくなったのか、小さな声とともに口が開いた。
その隙を逃さない。
舌先を滑り込ませた途端、彼女はまた少し暴れた。
構わずに先に進むと、ようやく彼女のそれと出会った。
脅えて縮こまった舌先を絡め取る。
彼女の乱れた呼吸と小さく漏れる声に煽られた。
もっと……このまま。
夢中でそうしている内に、抵抗をやめた彼女の手が、縋るように僕のシャツを握った。
我に返って唇を離す。
彼女の濡れた唇が光っていた。
上半身だけよじった無理な体勢から、力の抜けた彼女はそのまま僕の胸に崩れ落ちた。
「――すみません、乱暴にして」
まだ息があがったままの彼女が、弱々しく首を横に振った。
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