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「隠す余裕もなかったんですか」
「え……あ!」
毛布が腰まで落ちてしまっていることに気付いて慌てる彼女が、どうしようもなく可愛い。
ふ、と笑いがこみ上げた。
両腕で自分を抱くようにして身体を隠したまま、彼女は泣きそうな目で睨みつけてきた。
毛布を引っ張り上げてその身体を包みなおしてやると、ようやく彼女は落ち着いたようだ。
さっきみたいに乱暴にではなく。
今度はなるべく優しく、僕に身体を預ける彼女を抱きしめる。
胸に頬を摺り寄せてくる彼女の髪をそっと撫でた。
「怖かったですか?」
「……少し」
「すみません。僕も男なので」
――しばらく無言が続いて、少し不安になる。
乱暴すぎたか、とか、やっぱりまだ、嫌だったか、とか。
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