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ゆっくりと顔を上げて上目遣いで見上げてくる彼女の両腕が伸びて、僕の首にまわった。
露わになった肩が目に毒だ。
まったくこの人は、男の性を理解していないんだから。
初めて彼女の方からくれた柔らかなキスに、くらりと酔う。
はにかんだ様に笑って俯いた彼女は、小さな声で言った。
「少しずつ……慣れて、いきますから」
――やばい。
可愛い。
このまま押し倒したい。
湧いてくる衝動を、何とか抑えつけた。
『少しずつ』を、どうしたら少しでも早められるだろう――とか、考えながら。
「奏さん」
「はい」
「……このまま、ここで一緒に暮らしませんか?」
息を呑んだ音がした。
それから彼女は笑って、しっかりと頷いてくれた。
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