抉る三日月

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    ダンダンッ!   ダンダンダンッッ!! 夜の静寂を破る様に戸を叩く。 明らかに不信感を滲ませた声が聞こえる。 「はぃ…?」 「佳乃……私だ。早く開けて!」 急ぎ開いた戸の先には、瞠目する佳乃。 「ちょっと、どうしたの司郎……! あんた、肩…斬られてるじゃないッ!? 今、手当するから待ってて!」 慌てて中に戻ろうとする佳乃の腕を掴めば、其の場に崩れ落ちてしまう。 心配そうに顔を覗き込む佳乃の頬に手を伸ばし言い聞かせる。 「佳乃、逃げろ! 私は、今夜……粛清される。 この事は、長州側も知っている……。恐らく、私の口封じに動いてる筈だ。 お前も危険だ……。長州は、お前の事を知っている。だから、早くッ!!」 「え…?いきなり何を言い出すの!?」 突然の言葉に 頭の中が追い付いていない佳乃が慌て出した時…… 物影から現れた二つの影。  ザシュ…!! 「佳乃ッ!!」 刹那、肩を斬られ倒れ込む佳乃に追い討ちを掛ける様に振り落とされる鉄の塊。  ガンッ…!!
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