215人が本棚に入れています
本棚に追加
《蒼吾・終わりと始まり》
この所、きっかり同じ時間に４回だけなる着信。
アドレスから消してあるその番号は。
もうすぐ花嫁になる元カノのもの。
何の用だ。
せっかく忘れ始めてるのに。
出る気もせずに。
鳴り終わるまで携帯を見つめる。
【マリッジブルーなんじゃねえの】
イラついて相談した、ダチの言葉。
「はあ？だからって何でオレんとこに」
女って分かんねえ。
自分で選んだことじゃねえか。
苛々して。
（アイツ、泣いてんじゃねえかな）
でも気になって。
最近習慣になってきた例の伝言板に、書いてみた。
『マリッジブルーってなんですか』
誰でもいいから、答えて欲しかった。
あのコンビニの女の子。
彼女なら、なんて答えてくれるのかな。
伝言板の相手が女とは限らないのに。
なぜか彼女と重ねてしまった。
仕事帰り。
改札を出て異変に気付く。
伝言板のあるであろう場所に、
人だかり。
写メまで撮ってる人がいる。
近付いて見てみると・・・
『ただの現実逃避！大丈夫！！』
欲しかった答えが、そこにあった。
そうか。
ならちゃんと、現実に帰れるよな。
その晩初めて電話に出て、
「おめでとう」
心から祝福する事が出来た。
最初のコメントを投稿しよう！