5ヶ月後

3/3
215人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
《蒼吾・ピンクの伝言板》 駅の伝言板に、どピンクの装飾が施されてから5カ月が過ぎて。 チョークまみれで笑っていた、可愛い彼女をコンビニで待つ。 入試の結果を、知らせてもらうために。 『合格したら、会ってくれる?』 あの時、笑ってそう言った彼女。 彼女こそ、5か月も前の約束なんて覚えてるのかな。 今日ここで会えたら。 オレ達はココから始まる。 合格する事しか考えてなかったから、こっそり花束とプレゼントをコンビニのカウンターに隠してもらってる。 ほら。 頬を薔薇色に染めた彼女が、満面の笑顔で走ってきた。 「受かったよーっ!!」 真っ直ぐにオレの腕に飛び込む彼女を、そっと抱き締めた。 『恋が始まりそうな気がしたんだよね』 伝言板が、ピンクに見えたと言う彼女。 あの伝言板が、実は恋愛成就のパワースポットだったなんて知らなかった。 花束とプレゼントに涙を零す、愛しい彼女。 運命ってやつも。 信じても良いかな、なんて。 やっと思えるようになった。 今もある、駅の片隅の伝言板。 キミの最初の一言は、何て書く?
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!