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《蒼吾・ピンクの伝言板》
駅の伝言板に、どピンクの装飾が施されてから5カ月が過ぎて。
チョークまみれで笑っていた、可愛い彼女をコンビニで待つ。
入試の結果を、知らせてもらうために。
『合格したら、会ってくれる?』
あの時、笑ってそう言った彼女。
彼女こそ、5か月も前の約束なんて覚えてるのかな。
今日ここで会えたら。
オレ達はココから始まる。
合格する事しか考えてなかったから、こっそり花束とプレゼントをコンビニのカウンターに隠してもらってる。
ほら。
頬を薔薇色に染めた彼女が、満面の笑顔で走ってきた。
「受かったよーっ!!」
真っ直ぐにオレの腕に飛び込む彼女を、そっと抱き締めた。
『恋が始まりそうな気がしたんだよね』
伝言板が、ピンクに見えたと言う彼女。
あの伝言板が、実は恋愛成就のパワースポットだったなんて知らなかった。
花束とプレゼントに涙を零す、愛しい彼女。
運命ってやつも。
信じても良いかな、なんて。
やっと思えるようになった。
今もある、駅の片隅の伝言板。
キミの最初の一言は、何て書く?
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