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「この声のせいかそっち方面に慣れていると勘違いされまくりで、最初は大変だったよ。…まあ、経験がなかったわけじゃないが」
そっち方面って…。
意味ありげに艶やかな笑みを浮かべられ、
理解した瞬間顔が赤くなるのが自分でもわかった。
「だから、こうしてずっと意識して話していても何の反応も無いお前が不思議でたまらない」
俯いて赤い顔を隠していると、耳元で囁かれ、動揺した瞬間にソファに押し倒された。
「えっ?ちょっ、何してるんですか!?」
「そんな可愛らしい顔をされると押し倒したくなってな。どうしたらお前に意識してもらえる?」
覆い被された状態で身動きが取れないっ!
「風紀委員が風紀を乱してどうするんですか!?」
「恋愛は自由だ」
「俺達はまだ会ったばかりですよ!?」
「一目惚れだと言っただろう。俺の下でそんな必死な顔で息を乱されるとたまらないな」
「変態かっ!!」
「自覚はしてる」
ああ言えばこう言うとはこのことか。パタリと力が抜け、組敷かれていることも忘れて項垂れる。
「…俺で遊んでるでしょ」
「少しな、だがお前が魅力的だと思っているのも本当だ」
俺が抵抗を止めると、先輩は抱き起こして解放してくれた。
「?」
「今日は初日だし、ここまでにしておこう。あまりやり過ぎて嫌われたくはないからな。お前が望むなら続けるが?」
「いりません!」
即答して、入り口まで逃げる。
「残念だ」
言って、恵先輩の色気の滲んだ笑顔を向けられ、耐えきれなかった俺は、
「じゃあ、失礼しました!」
挨拶もそこそこにダッシュで風紀委員室を後にした。
大した時間あそこにいた訳じゃないのに、内容が濃すぎてたまらず逃げた俺は悪くない!!
そして、俺は教室に戻って反省文を提出しに、またあそこに行かなければならないことを思い出し絶望した。
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