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目が覚めると、見たことのない部屋にいた。
薄暗い。
日の光じゃない。
「ここは……」
重たい体をゆっくり起こすと、後頭部に激しい痛みを感じた。
突然の痛みに頭を触ると、少し腫れている。
「光樹……!!」
聞き覚えのある声の方へ振り返ると、そこには由姫がいた。
涙を溜めながら俺を見つめる由姫の周りには、同い年くらいの男女が6、7人。
見知った顔もいれば、知らない奴もいる。
「由…姫……」
痛みに顔をしかめながら彼女の名を呼ぶと、由姫はすかさず俺の元へと駆け寄ってきた。
「由姫、ここは……」
「わからない……。ただ、目を覚ましたらここにいたの……」
まるで廃墟のようなこの部屋には窓が無い。
いや、正確には窓を閉じられている。
壁の2箇所に何かを覆うように気の板で隠されていて、隙間からほんの少しだけ光が漏れている。
「出口は……?」
立ち上がり扉に手をかけようとすると、
「やめた方がいい」
メガネをかけていて、いかにも頭のいい男が言い放った。
「なんでだよ、こんなところ早く出ないと……」
「そいつと同じ目に合いたいのなら止めはしないが」
恐る恐る男の見つめる先を見ると、足に何かが触れた。
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