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「案外見てますよね、俺の事」
駿介は耳元で呟いた。
やだ…。ドキドキする…。
「先輩、僕とデートしません?」
はぁ?何を言い出すのよ~。
「何言い出すのよ」
「先輩、毎日忙しそうだから気晴らしに」
「今度の土日は江藤さんと出張なの!駿介みたいに遊んでる訳にはいかないんだから」
駿介の表情がムスッとしている。
「江藤さん、タイプなんでしょう?」
「なんでそんな事…。私は江藤さんはタイプじゃないから。他に好きな人がいるんだよ」
私の言葉に駿介が固まっている。
どうでもいいことじゃない。
駿介は菜摘の横の席に座り込んだ。
「なんだか妬けますね」
駿介は私を真っ直ぐ見てそう呟いた。
妬ける?私に…?
「今は何課の子と付き合ってるの?」
「さぁ、何課でしょうね」
駿介は焦らす様に呟いた。
「そう言う手口で女性をだますわけね…」
「失礼な言い方ですよ。なんで俺がそんな手を使って女性を口説かないといけないんですか」
「…だって…」
菜摘はカタカタとパソコンを打っている。
「その、誰かを教えてもらえませんか?」
ストレートな質問だわ。
「同じ開発課の人…」
その質問に対する答えに駿介は驚いた顔をしている。
「もおいいでしょう。私これ急ぎなの」
私は驚いている駿介を無視してまたパソコンに目を向けた。
大体何なのよ。
私が好きなのは駿介、あなたなんだよ…。
でも言えない…。
私はこんなに年上だし…。
「もしかして…俺?」
駿介の質問に胸が高鳴った。
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