10人が本棚に入れています
本棚に追加
どうして誰も突っ込まないんだろう。
絶対おかしいはずなのに。
まさか、みんなには見えていないのか?
俺は、おそるおそる先ほどの横道を見つめる。
ここからは、死角になっていて何も見えない。
「なぁ」
自分の目がおかしくない。
そう確認したくて、隣にいた愁(シュウ)の制服の袖を引く。
「何だよ」
愁は、面倒そうに俺の顔を見た。
「変なもの、見なかったか?」
「変なものって、何だよ」
いや、変なんだ。
絶対おかしいんだ。
だけど、どうやって説明したらいいのかわからなくて、言葉に詰まる。
見たほうが早いだろう。
「ちょっと、こっち」
もと来た道を、戻る俺。
不審な表情を崩さないまま、愁は俺の後を黙ってついてきた。
そして、先ほどの横道の前までやってきた。
よしっ。
俺は自分に気合を入れて、小路に足を踏み入れた。
最初のコメントを投稿しよう!