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「もういいわ。見た場所まで案内なさい」
何だろう、この圧倒的な敗北感。
そして、その言葉のままに、俺は歩き始めた。
「こっち」
「ちょっと、もっとゆっくり歩いてよ!」
足の長さの違いゆえ、普通に歩いても、女の子は小走りになる。
とはいっても、俺の脚が特別長いわけでもないけど。
「あなた、彼女いないでしょ」
はっ?
いきなりズバリと突っ込まれた俺は、言葉に詰まる。
「細かい気遣いができないと、女の子からはもてないわよ」
いやいやいや。
なんでこんな少女から、そんなレクチャー受けなきゃいけないの。
俺、人として終わってるかも。
がっくりと肩を落とし、とぼとぼとやってきたのは、あの小路。
「言っとくけど、見たのは3日前。しかも最後には消えた。
だから、あんまり意味ないかもしれないよ?」
「意味があるかないか、決めるのはあたしだ。黙って案内したらよい」
へいへい、そーですか。
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