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その日は、土曜日で仕事が休みの私は朝からお姉ちゃんの店にいた。
午後からの開店だったから私は早めに来て新しいメニューを考案しながら、仕込みをして。
唯一のアルバイトの原田さんが来て、あとはお姉ちゃんが来るのを待つだけだったんだけど、開店時間になっても来ない。
「春奈さん、どうかしたんですかね?」
フリーターの原田さんは私よりも三つ若くて、ベリーショートの茶髪がボーイッシュな女の子だ。
若竹色の作務衣を着ると男の子に見える。
ちなみに私は黒い服にエプロン。
身長が低すぎて、店にある作務衣のサイズがなかったからだ。
一度着てみたけど、ぶかぶかで似合わなすぎて、閉店までの短い間だけだしとお姉ちゃんが免除した。
「さぁ、一度連絡し......」
私が言い切る前に電話が鳴った。
出てみたら、案の定、噂をしていたお姉ちゃんからだった。
「ちょっと、ごめん。そっちに今日は行けそうにないの。原田さんと二人で大丈夫?」
「あ、うん。仕込みは全部終わってるから、大丈夫だと思う」
「じゃあ、お願いね!」
すごく焦った口調で言うと私の返答も待たずに切れる電話。
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