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その後のお兄ちゃんと真琴さんのことだけど。
朱里さんの家に身を寄せた真琴さんは、数日後にはお兄ちゃんの元に帰ってきた。
どうして、そう決心したのか。
妊娠しているからなのか。
お兄ちゃんがやっぱり好きだからなのか。
決め手はわからないけど、真琴さんはあれだけ苦しんだつわりもなくなって、私が会いにいった時にはすごく元気になっていたからびっくりした。
そして、予定通り二人の結婚式は取り行われることになったんだけど。
「俺、明後日行かないことになったから」
夏月が朝ごはん中に突然言い出した。
明後日。
それはお兄ちゃんと真琴さんの結婚式の日だ。
「はぁ!?なんで!?」
「ノロになった」
「嘘つき。ノロになった人間がこんなにご飯がつがつ食べられるわけないでしょ」
見るからに健康で、絶対嘘なのだから突っ込まずにいられない。
確かに好きな人の結婚式に出席するのはつらい。
私もけんちゃんの結婚式の時、身を切られる思いをしたから夏月が嘘をついてまで来ない理由もわかる。
でも、こんなギリギリになって......。
無言で訴える私に夏月はすっかり傷が塞がった顔をぷいっと横に向けた。
「とにかく行かない。だから、お前はノロが移るといけないからどっか行け」
「そもそもノロじゃないでしょ!それにどっか行けって」
「そろそろ親と話しろ」
ドンッと核心を突かれて、息を呑む。
まだ、私は両親の理解を得られていない。
それどころか家を飛び出したまま一度も帰っていない。
また頭ごなしに反対されるのが嫌で、逃げていた。
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