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「先生、好きです」
私が背の高い先生を見上げて想いの丈を告白すると、先生は見惚れるくらいにっこりと優しく笑った。
「ありがとう。でも、ごめん」
そして、即ざっぱりと私の想いを切り捨てた。
「......あっさり振りましたね」
「ええ、まぁ」
「そして、全く驚きませんでしたね」
「だって、あなたバレバレですもん」
確かに。
私は先生が好きすぎて顔からというか全身からそれが大量に放出していると親友の瑠璃から指摘されていた。
先生は後頭部をガシガシ掻きながら理解不能という顔でため息をついた。
「なんで、俺に惚れるかねぇ。普通、同じ部活の奴らとかじゃないの?」
「部活の人間より誰より先生のほうが魅力的です」
ヒナ先生は私がマネージャーをする男子バレー部の顧問だ。
二年前、前の顧問の先生が辞めて、後任にヒナ先生が選ばれた時、「背が高いってだけで選ばれて、何もわからないから」と部員に謝っていたけど、サーブや攻撃の種類など先生はよく勉強していた。
対戦校のビデオもみんなが帰った部室で一人で見て研究しているのも知ってる。
夏、蒸し風呂のような体育館にも嫌な顔せず入って部員の練習を見ていた。
先生の友達でバレーをしていた人にも学校に来てもらってコーチしてもらった。
決して強くはない、むしろ弱小の我が校男子バレー部。
それが、ヒナ先生の下、練習の甲斐あって、地区大会の準決勝までいって。
でも、そこで負けてしまった時、泣く部員たちにヒナ先生はずっと「頑張った」って肩を叩いていた。
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